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タコ / Pulpo

メキシコ料理といえばタコスですが、実は「タコ(Pulpo)」の一大生産国でもあることをご存知でしょうか?

メキシコ農業農村開発省の公式データをもとに、国内におけるタコの生態的特徴、主要な生産地、そして国際市場における貿易動向について解説します。

1. メキシコで漁獲されるタコの種類と生態的特徴

タコは殻を持たない頭足類に分類され、2列の吸盤を備えた8本の腕を持っています。この吸盤によって岩場や獲物に強く張り付き、水を噴射する推進力を利用して海中を移動します。主に岩の隙間や窪み、または沈没物の中などに生息しています。

メキシコのタコ漁業は、主に以下の2つの品種に依存しています。

  • マヤダコ(Octopus maya): 現地では「プルポ・ロホ(赤タコ)」と呼ばれています。
  • マダコ(Octopus vulgaris): 「プルポ・パトン(大足タコ)」とも呼ばれる一般的な品種です。

また、タコは環境に合わせて自身の皮膚の色や質感を変化させ、周囲に擬態する高い能力を持っていることも特徴です。

2. 国内の生産動向と持続可能性

メキシコにおけるタコ漁は、その多くが職人による伝統的な手作業で行われています。この手法は狙った個体を選別して捕獲できるため、国内の漁業部門の中でも非常に選択性が高く、持続可能性(サステナビリティ)に優れた漁法として評価されています。

2023年の国内生産データは以下の通りです。

  • 総生産量: 26,915トン
  • 総生産額: 22億4,400万ペソ
  • 生産者平均価格: 1トンあたり83,363ペソ

2023年の生産量は、前年と比較して33.0%の大幅な減少となりました。これは過去10年間の平均値を約1万2,000トン下回る水準です。なお、メキシコ国内におけるタコの年間1人あたり消費量は179グラムとなっています。

3. 生産を牽引する主要3州

メキシコ湾およびカリブ海沿岸において、タコは水産資源として4番目に高い重要性を持っています。国内生産量の98%は、ユカタン州、カンペチェ州、バハ・カリフォルニア・スール州の3州に集中しています。

ユカタン州

国内最大の生産地であり、2023年は18,407トンを記録しました。前年比で生産量が30.1%減少したものの、生産者価格は1トンあたり76,019ペソと12.6%上昇しました。しかし、漁獲量の減少を補うには至らず、州全体の総生産額は前年より3億7,800万ペソ(21.3%減)減少しています。

カンペチェ州

第2位の生産地であり、2023年の生産量は6,984トンでした。こちらも前年比で41.5%の減少となっています。

バハ・カリフォルニア・スール州

第3位に位置し、2023年の生産量は570トンでした。

その他の生産地としては、ソノラ州、ハリスコ州、キンタナ・ロー州、バハ・カリフォルニア州などが挙げられます。

4. 漁期の季節変動

タコの漁期は非常に明確であり、エビやロブスターのシーズンと類似しています。上半期(1月〜6月)の流通量は極めて少ないですが、8月から12月にかけて漁獲量が大きく増加します。特に10月はピークを迎え、年間総漁獲量の22.7%を占めています。

5. 国際市場における位置づけと貿易収支

メキシコは世界のタコ漁業において主要な地位を占めています。

  • 世界ランキング: メキシコは世界全体のタコ生産量(38万1,000トン以上)の10.4%を占めており、世界トップ5の一角を維持しています。なお、世界最大の生産国は年間11万トン以上の漁獲量を誇る中国です。
  • 国際的な需要: ヨーロッパやアジアにはタコを消費する文化が根付いており、スペイン、イタリア、日本、韓国などが世界の主要な輸入国となっています。
  • メキシコの輸出動向: 2023年にメキシコは、生鮮、冷蔵、冷凍、および加工品を含めて3,932トンのタコを輸出し、3,260万ドルの外貨を獲得しました。輸出活動は、漁期の盛期である9月から11月にかけて特に活発化します。
  • 貿易黒字: 同年のメキシコのタコ輸入量はわずか381トン(280万ドル相当)であったため、貿易収支は3,551トンの輸出超過となり、約2,980万ドルの黒字を記録しています。

結論

メキシコ産のタコは、伝統的な漁法による持続可能性を保ちながら、国内外の市場に供給されています。環境の変化による漁獲量の変動という課題を抱えつつも、その品質と生産規模から、国際市場において極めて重要な水産資源であり続けています。

出典:Panorama Agroalimentario 2024